為末氏の、一歩引いた冷静なつぶやきが好きでTwitterをフォローしていたが、著書を読んだのは初めて。
140字でも人柄は出るもの。なんとなく想像していたのと変わらない文体だった。
- 諦めることは悪いことじゃないということがわかる
- 人間、努力だけではどうしようもないことだってある
- 頑張ってもできないことはあるということがわかれば、気持ちが楽になる
副題の〜勝てないのは努力が足りないからじゃない〜というのは、決して努力しないでいいとか、そのままのあなたでいいよ、ということではない。
世の中には努力だけではどうにもならないことがあり、それを自分で見極めて勝てないフィールドでいつまでも努力するのではなく、「何が勝ちなのか」を見誤らないことが大切だ、ということ。
やってもできないことがある。
人には頑張っても出来ないことがあります。
でも、それを認めるのって難しい。
大人になるほど。
でも、それを認めたら、少し楽になるのではないかと思います。
やっても出来ないことはあるんです。どんなに努力をしても。
努力は必ず報われる?
人があまり認めたくない、直視したくない事実、「人間に優劣はないが、能力に優劣はある」ということ。
これを認めることがむしろ気を楽にするのではないか。
できないことは、どれほど努力をしてもできない。
つまり、できない、勝てないのは努力が足りないのではなく、そもそもできないことを無理してやっているのではないか、ということ。
「努力すればできる」「君には無限の可能性がある」
その考え方を頭から否定しているのではなく、それはそれで素晴らしい考えでもあるけれど、そうでない場合がある、ということを念頭においておくべきだ、と言っているのです。
「どこで勝つか」より「何が勝ちか」をはっきりさせておくことが、自分が本当に勝ちたいフィールドでの勝利につながるのだ。
どこかのタイミングで、「自分はこんなものでしかない」ということを一度受け入れなければならないということだ。
この考え方は、子育てにおいてとても大切だと思いました。
子どもにはついつい大人の夢を押し付けがち。
しかし、できないことは本人の努力不足ではない場合もある、ということを大人が知っていないといけない。
できないこと、無理なことをはっきりと伝えるのもやさしさというものだろう。
その幻想が、生きるのを辛くさせる
努力は無駄にならない。
努力すれば必ず結果が出る。
その幻想が、さらに人を追い込んでいく。
もちろん努力は大切だし、努力しなければ結果は出ない。
しかし、正しい方向に、正しい量の努力をしなければ、結果は出ない。
そこを見極めることなく、結果が出ていない人に「努力不足」の烙印を押し、追い込んでいくことで、生きづらさを感じる人が多いのではないだろうかと思う。
今生きづらいと感じている人、結果が出なくて悩んでいる人は、今の努力が本当に正しいのか、一度立ち止まって考えてみてもいいのではないでしょうか。