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小説ならではの作品だと思っていたら映画も面白かった『ハサミ男』

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非日常の世界を楽しんでみたい人におすすめの「ハサミ男」です。

この不穏なタイトル、とても期待してページを最初にめくったのは2005年。結構前の作品ですが、今読み直してもおもしろいです。

わかっていても騙される。それが叙述トリックの面白さです。

どこにしかけがあるんだろうとものすごく注意をしながら読んで、どこかにほころびを見つけてやろうという気満々なのに、結局最後まで見つけられず、アッと驚く。

この驚きを求めて読んでいるのだから、それでいいんですけれども。

しかも、読んだあとに、この小説が映画になる、と聞いて驚いた。

この作品は著者のデビュー作で(これがデビュー作!?という出来。さすが1999年メフィスト賞受賞作)読んだことのある人ならばわかると思いますが、これをどうやったら、映像化できるんだろうと考えましたよ。

最初に読んだときには、小説ならではの楽しみというか、映像では絶対に表現できないおもしろさだろうなあと考えていたから。

ちゃんと裏切られた。良かった。

結構厚い本ですが、先が気になってスイスイ読めてしまいます。

メインテーマは、刃の先をわざわざ研いで細らせ、それを首に突き立てるという「猟奇殺人」ですから結構えぐいのですが、捜査をする刑事さんなどが結構憎めないキャラクターだったりして、楽しく読むことができるのです。

私が想像したハサミ男は・・・色白、少し小太り、メガネをかけてる、年齢は20代からいっても30少し過ぎたくらい・・・そう、秋葉原なんかによく通ってそうな風貌。

こういう猟奇殺人をする人って、そんなイメージありませんか。

勝手なイメージで、色白で小太りでメガネかけている人に申し訳ないけれど・・・。

なんとなく、猟奇的な殺人犯にぴったり!?普段はおとなしくてどちらかというと目立たない、いわゆる「普通の人」。たぶんこれを読んだ人はそんな感想を持つのではないかなあ。

捜査をする刑事の視点と、ハサミ男の視点の両側から話が進んでいきます。

同じ場面でも見る角度が違うとおもしろいものです。

ハサミ男は自分がやっていない殺人が「ハサミ男」の仕業としてマスコミに取り上げられ、真犯人を探そうとするのですが、なんだか自分がハサミ男になったような気分で読めたりします。

おお、どうして犯人がこうなった!?ちゃんと読んでたのに、わからんかった!と、読後は楽しい気分になりました。

猟奇殺人の話で楽しい気分になれるってのも不思議ですが、それだけ叙述トリックが面白いってことです。

さあ、あなたも騙されてみてください。

日々の忙しさから逃れ、ちょっと現実逃避して非日常を味わいたい人におすすめの作品です。

映画化されたものは。

映画の方は、賛否両論ですね。

映画は映画として面白いけど、やはりこの作品のすごさを映像化するのはちょっと難しかったのかなと思う。

しかしながら「別物」として見れば、俳優陣の演技も素晴らしいので、それなりに楽しめるのではないかと思います。