閉ざされた空間で1人1人殺されていく…この超古典的なテーマをどう面白く読ませるのか。
今回は1人1人に与えられた凶器が違うのだから、それを見せ合えば一目瞭然、お前が犯人だ!で終わってしまうではないか…などという私の心配は杞憂だった。
やはり、一筋縄ではいかない展開が待っていた。
超古典的なテーマなんだけど
なんといってもこの作品の面白さは古今東西のミステリとの絡みだろう。
各自に割り当てられた鍵のかからない個室には“おもちゃ箱”が置いてあり、その中には凶器とその出典、殺害方法が記された〈メモランダム〉が入っている。
これが必ずしも出典が正しいわけでもなかったりするのだが、古今東西のミステリをどのくらい読んでいるのかによって面白さが変わってくる作品なんだと思う。
ああ、あの作品ね、って思うことが出来れば楽しさ倍増。
ミステリが好きで、いろんなジャンルの作品を読んでいる人にはそういう面白さもあるだろう。
ミステリを読みたいけど、あんまり重いのはイヤだな、でもプロットがちゃんとしていて本格的なものが読みたいなってときにおすすめです。
やはり、してやられてしまった
私は結局犯人がわからなかったから、してやられたということだが、主人公・理久彦の楽天家ぶりが作品全体を陰湿にせず、むしろゲーム感覚(その方が恐ろしいか)で進んでいくかのようで重苦しくなることなく読めた。
米澤穂信さんの作品は他にもいくつか読んだことがあるのですが、軽い感じで読めるのに中身がぎゅっと詰まっている感じ。
そして、最後にアッと驚かされる。
面白かったのだが、惜しむらくは、時給11万2千円という高額バイトを募集した雇い主の目的がよくわからないので、このメンバーが集められた理由もぼやけていること、閉ざされた空間の恐怖はわかるけれども、そう簡単に殺人が起きるものかな、という感じがしなくもない。
とはいえ、この厚さの本を一気に読めたのだから満足であるよ。
映画もあるよ
映画はまだ見ていないが、登場人物と映画のキャストは必ずしも一致していないようなので、こちらも興味深々。